この記事でわかること

  • 機械が止まっているのに電気を使い続けている理由
  • 北海道の冬に、なぜ底が上がるのか
  • 底が高い工場で、何を見るか

「うちは夜は止まってるから、そんなに使ってないと思うよ」

印刷工場の社長さんから、よく聞く言葉です。でも検針票を見せていただくと、夜間も休日も、かなりの量を使っています。

理由は、たぶん社長さんご自身が一番よく分かっています。空調を止められないからです。


紙は、湿度で伸びたり縮んだりする

印刷業の方には釈迦に説法ですが、話の前提として書きます。

紙は湿度を吸って伸び、乾いて縮みます。多色刷りで見当がズレるのは、これが原因のひとつです。裁ち落としの寸法も変わります。

だから、工場内の温度と湿度を一定に保つ必要がある。恒温恒湿です。

そしてこれは、機械を止めても止められません。紙は倉庫にも、機械の上にも、刷り上がった状態でも置いてあります。夜のあいだに湿度が動けば、翌朝の一発目からズレます。

つまり、印刷工場の電気は「使っていない時間の使用量が高い」という特徴を持っています。これを「底が高い」と言っています。


北海道は、冬の加湿負荷が大きい

ここが本州の工場と条件が違うところです。

冬の北海道は、外気の絶対湿度が非常に低くなります。乾いた空気を暖房で温めると、相対湿度はさらに下がります。

そこから工場内を適正な湿度まで持っていくには、大量の水を蒸発させる必要があります。蒸気式でも気化式でも、ここにエネルギーがかかります。

誰も刷っていない、真冬の日曜の夜。そのときも加湿と暖房は動き続けている。これが北海道の印刷工場の底を押し上げています。


底が高いと、何が起きるか

① 使用量そのものが大きくなる

底が高いということは、月間の使用電力量(kWh)が積み上がるということです。

これは従量料金に直結します。そして使用量が大きいほど、単価がわずかに動いたときの年間の差額が大きくなります。

たとえば月10万kWh使っていれば、1kWhあたり1円の差で年間120万円です。底が高い工場ほど、契約先の見直しが効きやすいのはこのためです。

② 「節電しよう」では、ほとんど動かない

底の部分は、品質を守るために必要な電力です。ここを削るという話にはなりません。

照明をこまめに消す、といった話では、底には効きません。削るのではなく、同じ量を安く買うほうに目を向けたほうが早いというのが、私の考えです。


底が高い工場で、見るところ

検針票の「夜間」の使用量

時間帯別の内訳が出ていれば、そこを見てください。夜間の使用量が昼間と比べてどのくらいか。

極端に低くないなら、底が高い工場です。恒温恒湿が効いている証拠でもあります。

昼間に偏っているか、夜も一定か

これは市場連動プランが向くかどうかの判断につながります。

市場価格は、太陽光の発電量が多い昼間に安く、夕方から夜にかけて高くなる傾向があります。夜間の使用が多い工場ほど、市場連動のメリットは出にくくなります。

ただし、印刷業はそもそも見積単価が先に決まる構造なので、変動そのものを避けたい会社が多いと思います。その場合は固定単価のプランをご提案します。

加湿設備の方式

蒸気式(電気ヒーター)か、気化式か。ここで消費電力はかなり変わります。

設備の更新時期が来ているなら、方式を見直すと底そのものが下がる可能性があります。ただしこれは設備投資の話になるので、電気の契約の見直しとは別の検討になります。


デマンドは、底の上に立つ山で決まる

底が高い工場の場合、繁忙期に機械を全台立ち上げると、高い底の上にさらに山が乗ります。

高圧(500kW未満)の契約電力は実量制といって、当月を含む過去12か月のうち、最も大きかった30分間の平均使用電力(デマンド値)で決まります。

年賀・決算期・選挙といった繁忙期に、夜間残業で機械を全台立ち上げた30分。あの一晩が、その後1年分の基本料金を決めていることがあります。

しかも、今月ピークを削っても、それより高い山が過去12か月に残っている間は基本料金は下がりません。効いてくるまで時間がかかる分、早く着手したほうがいい話です。

(契約電力が500kW以上の場合は、電力会社との協議で決めるので考え方が変わります)


よくいただくご質問

Q. 恒温恒湿を弱めれば、電気代は下がりますか

下がりますが、おすすめしません。見当ズレや寸法変化で刷り直しになれば、その損失のほうが大きくなります。品質を落とさずに下げる方法から先に見ましょう。

Q. 底が高いのは、うちだけですか

いいえ。恒温恒湿を入れている印刷工場はどこも同じ構造です。北海道の場合、冬の加湿でさらに上がります。

Q. 何から始めればいいですか

検針票を1枚見せてください。時間帯別の内訳があれば、底の高さと山の出方が分かります。


なお、私が扱っているプランには、市場価格に連動するタイプもあります。市場が落ち着いているときはよく効きますが、高騰したときは単価が上がります。値動きを読めないことそのものが負担になる会社には向きません。固定型を選ぶこともできますので、向き不向きは「市場連動プランのメリットとリスク」でお話ししています。


このあとの流れ

① 検針票を1枚、メールかLINEでお送りください(撮影1枚でOK。2分ほどで終わります)
② 通常2〜3日ほどで試算をお返しします。この時点でこちらからお電話することはありません
③ 見て検討したい場合だけ、ご連絡ください。お断りのご連絡も不要です

いただいた検針票を電力会社にお渡しするのは、お客様の同意をいただいてからです。試算は無料で、試算後のご契約は任意です(試算だけで費用が発生することはありません)。

詳しくは北海道の印刷工場の電気代を見直すもご覧ください。

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書いた人:株式会社fortuna(でんきの窓口)代表 池内裕亮/札幌/北海道の高圧法人を中心に、電力会社9社を比較した見直しを担当。→ 会社概要

株式会社fortuna(でんきの窓口)は、小売電気事業者9社の販売代理・媒介を行っています。ご提案の際は、契約先となる小売電気事業者名・料金プラン・契約期間・解約時の条件を書面でご説明します。

※記載の内容は2026年度時点の一般的な説明です。工場の設備・稼働状況・契約内容により結果は異なります。削減をお約束するものではありません。