この記事でわかること
- デマンドの山を作っているのは、空調ではない
- 午前中に何が重なっているか
- ずらせるもの・ずらせないもの
先に書いておきます。空調の話はしません。
入居者の方は自分で体温調節ができません。設定温度は触れない。それが前提です。「節電のために少し我慢を」という話は、介護の現場では成立しません。
そのうえで、基本料金を決めている山は、空調ではないところに立っています。そこを見ていきます。
基本料金は、いちばん高い30分で決まっている
まず仕組みから。
高圧(500kW未満)の契約電力は実量制といって、当月を含む過去12か月のうち、最も大きかった30分間の平均使用電力(デマンド値)で決まります。
瞬間的に跳ねただけでは上がりません。30分ならして高い状態が続いたときに更新されます。
つまり、1年のうちのある30分が、その後12か月の基本料金を決めているわけです。
(契約電力が500kW以上の場合は、電力会社との協議で決めるので考え方が変わります)
その30分は、午前中に来ています
介護施設で山が立つのは、たいてい午前中です。
理由は、この3つが同じ時間帯に重なるからです。
① 機械浴(特浴)の給湯
入浴介助は午前中に集中します。機械浴の湯を張る、追い焚きする、次の方のために温度を戻す。給湯の負荷が連続でかかります。
電気温水器やヒートポンプ給湯を使っている施設は、ここがそのまま電力の山になります。
② 厨房の仕込み
昼食の仕込みが、ちょうど同じ時間帯です。
スチームコンベクション、炊飯、冷蔵・冷凍、食洗機。厨房は短時間に集中して負荷がかかる設備の集まりです。
③ 洗濯乾燥機
シーツ、寝衣、タオル。介護施設の洗濯量は多く、しかも乾燥機が電力を食います。
朝の介助が一段落したタイミングで一斉に回す。これも午前中です。
そこに、猛暑日が重なると
空調は触れませんが、外気温が上がれば空調の消費電力は勝手に上がります。
猛暑日で空調がフル稼働している日に、入浴日が重なる。厨房も回る。洗濯も回る。
その日の午前中の30分が、その年の最大値になります。そして、その後12か月の基本料金が決まります。
心当たり、ありませんか。
ずらせるもの・ずらせないもの
ずらせる可能性があるもの
洗濯乾燥機が、いちばん動かしやすいと思います。入浴や食事と違って、時間が決まっているわけではありません。午後に回せる施設は多いはずです。
機械浴の開始時間も、30分程度なら動かせることがあります。全員を同じ時間帯に集中させず、少し分散させる。
厨房の仕込み開始も、メニューによっては前倒しできる場合があります。
ずらせないもの
空調は固定負荷です。触りません。
入浴介助そのものは、人員配置で決まっています。職員が手薄な時間帯に回すことはできません。無理にずらして現場が回らなくなったら本末転倒です。
食事の時間も、入居者の生活リズムなので動かせません。
効いてくるまでには、時間がかかります
ここは正直にお伝えしておきます。
今月ピークを削っても、それより高い山が過去12か月に残っている間は、基本料金は下がりません。
去年の夏の入浴日に立った山が残っていれば、それが抜けるまでは下がらない。効果が出るのは、最大で1年後ということもあります。
だから、早く着手したほうがいい話なんです。逆に言うと、一度大きな山をつくると、1年間その基本料金を払い続けることになります。
現実的には、契約先の見直しのほうが早いです
ここまでデマンドの話を書いておいて何ですが、手間と効果のバランスで言えば、契約先を見直すほうが早く効きます。
デマンド対策は、現場の運用を変える話です。人員配置に関わるので、施設長の一存では決められないことも多い。しかも効果が出るまで最大1年かかります。
一方、契約先の見直しは書類の手続きだけで、現場は何も変わりません。
北海道の介護施設では、契約電力67kWの施設で年間877万円→776万円(▲11.5%)、123kWの施設で1,126万円→883万円(▲21.6%)という結果が出た事例があります。※一例です。施設の設備・使用状況・契約内容により結果は異なります。削減をお約束するものではありません。
まず契約先を見て、そのあとデマンドを見る。この順番をおすすめしています。
よくいただくご質問
Q. デマンド監視装置を入れたほうがいいですか
山がどこに出ているか分からない場合は、有効です。ただし費用がかかるので、まずは検針票の12か月分を見て、どの月にピークが出ているかを確認するところからでいいと思います。
Q. 空調を止める時間をつくれば下がりますか
介護施設ではおすすめしません。入居者の方の体調に直結します。
Q. 洗濯を午後に回すだけで、本当に変わりますか
施設によります。洗濯乾燥機の台数と容量が大きい施設ほど効きます。ただし、これも過去12か月の山が抜けるまでは料金に反映されません。
なお、私が扱っているプランには、市場価格に連動するタイプもあります。介護施設は介護報酬が制度で決まっていて電気代を転嫁できないので、変動を避けたい場合は固定型をご提案します。向き不向きは「市場連動プランのメリットとリスク」でお話ししています。
このあとの流れ
① 検針票を1枚、メールかLINEでお送りください(撮影1枚でOK。2分ほどで終わります。12か月分あると山の出方が分かります)
② 通常2〜3日ほどで試算をお返しします。この時点でこちらからお電話することはありません
③ 見て検討したい場合だけ、ご連絡ください。お断りのご連絡も不要です
いただいた検針票を電力会社にお渡しするのは、お客様の同意をいただいてからです。試算は無料で、試算後のご契約は任意です(試算だけで費用が発生することはありません)。
詳しくは北海道の介護施設の電気代を見直すもご覧ください。
業種別のご案内
温泉・ホテルの電気代/印刷工場の電気代/介護施設の電気代
書いた人:株式会社fortuna(でんきの窓口)代表 池内裕亮/札幌/北海道の高圧法人を中心に、電力会社9社を比較した見直しを担当。→ 会社概要
株式会社fortuna(でんきの窓口)は、小売電気事業者9社の販売代理・媒介を行っています。ご提案の際は、契約先となる小売電気事業者名・料金プラン・契約期間・解約時の条件を書面でご説明します。
※記載の削減事例は一例です。施設の設備・使用状況・契約内容により結果は異なります。削減をお約束するものではありません。