この記事でわかること

  • 1kW下げると年間いくらになるのか、計算のしかた
  • なぜ、すぐには下がらないのか
  • 業種別に、ピークが立つのはいつか

「デマンドを下げましょう」と言われても、いくら得になるのか分からないと動けないと思います。

なので、金額の話から書きます。


計算のしかた

高圧の基本料金は、ざっくりこの式です。

基本料金 = 基本料金単価(円/kW)× 契約電力(kW)×(185 − 力率)÷ 100

契約電力が1kW減れば、基本料金単価の1か月分が減ります。それが12か月続きます。

年間いくらか

基本料金単価は契約や電力会社によって変わりますが、仮に1kWあたり月1,500円だとすると——

1,500円 × 12か月 = 年間 18,000円

1kW下げるだけで、年間1万8千円。10kW下げれば18万円です。

契約電力が191kWの温泉施設、632kWの印刷工場といった規模になると、数十kW単位で動く余地があることも珍しくありません。そうなると年間で数十万円から百万円単位の話になります。

※単価はご契約によって異なります。実際の金額は検針票を見てから計算します。


ただし、すぐには下がりません

ここが一番の落とし穴です。知らないと「削ったのに下がらない」となります。

高圧(500kW未満)の契約電力は実量制といって、当月を含む過去12か月のうち、最も大きかった30分間の平均使用電力(デマンド値)で決まります。

つまり——

  • 今月ピークを削っても、それより高い山が過去12か月に残っている間は、基本料金は下がりません
  • 去年の夏に立った山が残っていれば、それが抜けるまで待つことになります
  • 効果が出るのは、最大で1年後ということもあります

だから、早く着手したほうがいい

逆に言えば、一度大きな山をつくると、1年間その基本料金を払い続けます。

「今年は繁忙期に無理をしたな」という年があると、その代償を12か月にわたって払うことになる。ここは知っておいたほうがいいところです。

(契約電力が500kW以上の場合は、電力会社との協議で決めるので考え方が変わります)


瞬間的に跳ねただけでは、上がりません

もうひとつ、誤解されやすいところです。

デマンドは30分間の平均で見ます。モーターの始動時に一瞬だけ大きな電流が流れても、それだけでは契約電力は上がりません。

30分ならして高い状態が続いたときに更新されます。

なので、「一瞬の突入電流を抑える」という対策は、デマンド削減にはあまり効きません。30分間、複数の大きな設備が同時に動き続けている時間帯を探すことが大事です。


業種別|ピークが立つのはいつか

自分の現場の「あの日」を思い浮かべてみてください。

印刷工場

年賀・決算期・選挙といった繁忙期の、夜間残業。

オフセット機を全台立ち上げ、乾燥設備が回り、コンプレッサーが動き、そこに恒温恒湿の空調が乗る。その30分です。

介護施設

猛暑日と入浴日が重なった日の、午前中。

機械浴の給湯、厨房の仕込み、洗濯乾燥機。この3つが重なるところに、フル稼働の空調が乗ります。

(詳しくは「介護施設のデマンド|機械浴・厨房・洗濯が重なる時間をずらす」に書きました)

宿泊施設

満室日の夕方。

全客室の空調、大浴場の設備、厨房が同時に動く時間帯です。


何ができるか

① 立ち上げのタイミングをずらす

一斉に立ち上げず、時間差をつける。これが一番お金のかからない方法です。

ただし、納期や人員配置の都合で動かせないこともあります。無理にずらして本業が回らなくなったら意味がありません。

② どこに山が出ているかを把握する

まず検針票を12か月分並べてください。最大需要電力の欄を見れば、どの月にピークが出ているか分かります。

「何月に山が出ているか」が分かるだけで、対策の方向が決まります。

③ デマンド監視装置を検討する

山が30分単位でどこに出ているか分からない場合、見える化する装置があります。設定値を超えそうになると警報が出るタイプもあります。

ただし費用がかかるので、まずは検針票を見るところからでいいと思います。


契約先の見直しと、どちらが早いか

正直に書くと、手間と効果のバランスでは、契約先の見直しのほうが早いです。

デマンド対策は現場の運用を変える話で、効果が出るまで最大1年かかります。契約先の見直しは書類の手続きだけで、現場は何も変わりません。

まず契約先を見て、そのあとデマンドを見る。この順番をおすすめしています。


よくいただくご質問

Q. 基本料金単価はいくらですか

ご契約によって異なります。検針票に基本料金と契約電力が載っているので、そこから逆算できます。

Q. 契約電力を自分で下げられますか

実量制(500kW未満)の場合、契約電力は実績で自動的に決まるので、申請して下げるものではありません。使い方が変われば、12か月かけて下がっていきます。

Q. 力率も基本料金に関係しますか

します。基準力率85%に対し1%ごとに1%割引/割増、上限は最大15%です。ただし、キュービクルを持っている会社の多くはすでに98〜100%で、改善余地がないことがほとんどです。

Q. うちの場合、いくら下がりますか

検針票を見せてください。契約電力と基本料金単価が分かれば、その場で計算できます。


なお、私が扱っているプランには、市場価格に連動するタイプもあります。市場が落ち着いているときはよく効きますが、高騰したときは単価が上がります。値動きを読めないことそのものが負担になる会社には向きません。固定型を選ぶこともできますので、向き不向きは「市場連動プランのメリットとリスク」でお話ししています。


このあとの流れ

① 検針票を1枚、メールかLINEでお送りください(撮影1枚でOK。2分ほどで終わります。12か月分あると山の出方が分かります)
② 通常2〜3日ほどで試算をお返しします。この時点でこちらからお電話することはありません
③ 見て検討したい場合だけ、ご連絡ください。お断りのご連絡も不要です

いただいた検針票を電力会社にお渡しするのは、お客様の同意をいただいてからです。試算は無料で、試算後のご契約は任意です(試算だけで費用が発生することはありません)。

お問い合わせはこちら LINEで相談する


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書いた人:株式会社fortuna(でんきの窓口)代表 池内裕亮/札幌/北海道の高圧法人を中心に、電力会社9社を比較した見直しを担当。→ 会社概要

株式会社fortuna(でんきの窓口)は、小売電気事業者9社の販売代理・媒介を行っています。ご提案の際は、契約先となる小売電気事業者名・料金プラン・契約期間・解約時の条件を書面でご説明します。

※記載の金額は計算例です。2026年度時点の一般的な説明であり、実際の単価・削減額はご契約内容により異なります。削減をお約束するものではありません。