この記事でわかること
- 力率が基本料金にどう効くのか
- 検針票の力率が何%なら、見直す価値があるか
- たいていは「触るところがない」という結論になる理由
先に結論を書きます。
検針票の力率が98%以上なら、ここは触るところがありません。改善余地はゼロです。
キュービクルを持っている会社の多くは、すでに進相コンデンサが入っていて98〜100%になっています。なので、「見直しの余地がありません」で終わることがほとんどです。
それでも書くのは、85%を下回っている会社が実際にあるからです。その場合は、設備に何か起きています。
力率とは何か
電気には、実際に仕事をする分(有効電力)と、仕事をせずに行ったり来たりする分(無効電力)があります。
力率は、送られてきた電気のうち、どれだけが実際に仕事をしたかの割合です。
モーターや変圧器のようなコイルを持つ機器は、無効電力を発生させます。印刷機、コンプレッサー、ポンプ、空調。工場や施設には、こういう設備がたくさんあります。
無効電力が多いと、電力会社は「使われないのに送らないといけない分」を余計に流すことになります。だから、力率が悪い会社には割増、良い会社には割引という制度になっています。
基本料金にどう効くか
基準は85%です。
- 力率が85%より1%高くなるごとに、基本料金が1%割引
- 85%より1%低くなるごとに、1%割増
- 割引の上限は15%(=力率100%のとき)
つまり、最大で基本料金が15%変わります。
金額にすると
契約電力191kWで、基本料金単価が仮に1kWあたり月1,500円だとすると——
基本料金 = 1,500円 × 191kW = 月 286,500円
力率が85%(割引なし)から100%(15%割引)になれば、月約43,000円、年間約51万円の差になります。
※単価はご契約によって異なります。実際の金額は検針票を見てから計算します。
でも、たいていは既に改善済みです
ここが大事なところです。
高圧受電の設備(キュービクル)には、進相コンデンサという機器が入っているのが普通です。これが無効電力を打ち消して、力率を上げてくれます。
設計時にきちんと容量が計算されていれば、力率は98〜100%になります。そして多くの施設が、そうなっています。
だから私が検針票を見て力率が98%以上だったら、「ここは触るところがありません」とお伝えします。それで終わりです。
余地がないと言えることも、見てみないと分からないことです。
85%を下回っていたら、疑うこと
一方で、力率が低い場合は、設備に何か起きている可能性があります。
① 進相コンデンサの劣化・焼損
コンデンサには寿命があります。おおむね10年前後で容量が抜けたり、故障したりします。
見た目には分かりません。膨らんでいる、油が漏れているといった兆候があれば分かりやすいですが、静かに容量が落ちていることもあります。
古い工場ほど、ここが起きています。
② 容量が設備の実態と合っていない
設置したときから、機械が入れ替わっているケースです。
大型機を増設した。設備を更新した。ラインを増やした。そのたびに無効電力は増えますが、進相コンデンサはそのままだと、力率が下がります。
③ そもそも入っていない
古い設備だと、進相コンデンサが入っていないこともあります。
印刷工場は、とくに見る価値があります
モーターを多く使うからです。
オフセット機、コンプレッサー、断裁機、空調のファン。回転機がこれだけあると、無効電力もそれなりに出ます。
そして印刷工場は、設備の入れ替えが起きやすい業種でもあります。進相コンデンサの容量が、いまの設備構成と合っているか。ここは一度確認する価値があります。
(印刷工場の電気については「北海道の印刷工場の電気代を下げる」に詳しく書きました)
確認のしかた
検針票の「力率」の欄を見るだけです。
| 力率 | 判断 |
|---|---|
| 98%以上 | 触るところなし。改善余地はゼロ |
| 90〜97% | 少し余地があるかもしれない程度 |
| 85%未満 | 進相コンデンサの故障・容量不足を疑う |
85%未満だった場合は、保安管理を委託している電気主任技術者に相談してください。キュービクル内の作業になるので、そこは専門の方の領域です。
私のほうでできるのは、「検針票を見て、そこに余地がありそうかをお伝えする」ところまでです。
よくいただくご質問
Q. 力率を上げれば、使用電力量(kWh)も減りますか
減りません。力率が効くのは基本料金です。従量料金には影響しません。
Q. 進相コンデンサを新しくすると、いくらかかりますか
容量と設備の状況によります。ここは電気工事の話になるので、保安管理の委託先か、電気工事店にご相談ください。
Q. 力率が100%を超えることはありますか
進み力率になっている場合、検針票の表示上100%を超えて見えることがあります。過補償の状態なので、これも本来は調整の対象です。
Q. 診断してもらうのに費用はかかりますか
かかりません。検針票を見て、力率に余地があるかどうかをお伝えするところまでは無料です。
なお、私が扱っているプランには、市場価格に連動するタイプもあります。市場が落ち着いているときはよく効きますが、高騰したときは単価が上がります。値動きを読めないことそのものが負担になる会社には向きません。固定型を選ぶこともできますので、向き不向きは「市場連動プランのメリットとリスク」でお話ししています。
このあとの流れ
① 検針票を1枚、メールかLINEでお送りください(撮影1枚でOK。2分ほどで終わります)
② 通常2〜3日ほどで試算をお返しします。この時点でこちらからお電話することはありません
③ 見て検討したい場合だけ、ご連絡ください。お断りのご連絡も不要です
いただいた検針票を電力会社にお渡しするのは、お客様の同意をいただいてからです。試算は無料で、試算後のご契約は任意です(試算だけで費用が発生することはありません)。
業種別のご案内
温泉・ホテルの電気代/印刷工場の電気代/介護施設の電気代
書いた人:株式会社fortuna(でんきの窓口)代表 池内裕亮/札幌/北海道の高圧法人を中心に、電力会社9社を比較した見直しを担当。→ 会社概要
株式会社fortuna(でんきの窓口)は、小売電気事業者9社の販売代理・媒介を行っています。ご提案の際は、契約先となる小売電気事業者名・料金プラン・契約期間・解約時の条件を書面でご説明します。
※記載の金額は計算例です。2026年度時点の一般的な説明であり、実際の単価・削減額はご契約内容により異なります。削減をお約束するものではありません。