この記事でわかること

  • 印刷工場の電気が「山」だけでなく「底」も高い理由
  • デマンドの山が立つのは、いつか
  • 契約先・デマンド・力率の3つの見直しどころ

印刷工場の電気代の話をすると、「うちは夜は止まってるから」と言われることがあります。

でも実際には、機械が止まっている夜間も休日も、空調は回り続けています。

紙は湿度で伸縮して見当がズレます。だから恒温恒湿を保たないといけない。北海道は冬の加湿負荷が大きいので、誰も刷っていない時間帯の電力が、相当あります。

つまり印刷工場は、繁忙期に山が立つだけでなく、底そのものが高い業種です。

ここが分かっていると、見直す場所が変わってきます。これ、知らないと損しますよ。


見直しどころ ①|契約先(単価を下げる)

同じ電気を、別の会社から買います。生産設備には一切触れません。工事もありません。

送配電の設備は、切り替えたあとも北海道電力ネットワークが引き続き担います。ですから、送配電に起因する停電のしやすさは変わりません。印刷機が止まるリスクが、切り替えによって増えることはありません。

一方で、小売の会社側の事情で供給が続けられなくなるケースはゼロではありません。その場合も電気が止まることはなく、最終保障供給という受け皿に切り替わりますが、料金は割高になります。だからこそ、どの会社と契約するかは見ておいたほうがいいんです。

底が高い=使用量が大きいということなので、単価がわずかに動いたときの年間インパクトは大きくなります。印刷工場で契約先の見直しが効きやすいのは、この構造のためです。

参考|印刷業での実績

契約電力632kWの印刷業で、年間3,565万円 → 3,131万円(▲434万円、12.1%)という結果が出た事例があります。設備は何も変えず、契約先の見直しのみです。

※関西電力エリアの事例です。一例であり、工場の設備・稼働状況・契約内容により結果は異なります。削減をお約束するものではありません。


見直しどころ ②|デマンド(基本料金を下げる)

高圧(500kW未満)の契約電力は実量制といって、当月を含む過去12か月のうち、最も大きかった30分間の平均使用電力(デマンド値)で決まります。瞬間的に跳ねただけでは上がりません。30分ならして高い状態が続いたときに更新されます。

(契約電力が500kW以上の場合は、電力会社との協議で決めるので考え方が変わります)

山が立つのは、繁忙期の夜です

印刷業でピークが出るのは、年賀・決算期・選挙といった繁忙期に、夜間残業で機械を全台立ち上げた30分です。

オフセット機、乾燥設備、コンプレッサー、断裁機。これが一斉に動いて、そこに恒温恒湿の空調が乗る。

心当たり、ありませんか。あの一晩が、その後1年分の基本料金を決めていることがあります。

ただし、削ってもすぐには下がりません

ここは誤解されやすいので、はっきり書きます。

今月ピークを削っても、それより高い山が過去12か月に残っている間は、基本料金は下がりません。効いてくるまで時間がかかる分、早く着手したほうがいい話です。

逆に言えば、一度大きな山をつくると、1年間その基本料金を払い続けることになります。

何ができるか

設備の立ち上げ順序を少しずらすだけで、山が消えることがあります。全台同時に立ち上げるのではなく、時間差をつける。それだけでピークが下がるケースは実際にあります。

ただし、これは工場ごとに事情が違います。納期の都合で「ずらせない」こともあります。現場を伺ってからのご相談になります。


見直しどころ ③|力率

力率が上がると、基本料金が割り引かれます。基準力率85%に対して1%ごとに1%、上限は最大15%です。

まず検針票の力率を見てください。

  • 98%以上 → ここは触るところがありません。改善余地はゼロです
  • 85%を下回っている → 進相コンデンサの故障や容量不足を疑ったほうがいいです

古い工場ほど、進相コンデンサの劣化や焼損が起きています。設置したときから設備が入れ替わっていて、容量が実態と合っていないケースも、意外とあります。

「余地がありません」と申し上げられるのも、見てみないと分からないことです。


契約の話とは別に、捨てていないか

現場でよくあるのが、コンプレッサーのエア漏れです。

配管の継手やカプラから漏れていると、無負荷運転が続いて電気を捨て続けることになります。コンプレッサーは工場の電気の1〜2割を持っていく設備なので、ここが漏れていると効きます。

止まっているはずの時間帯にコンプレッサーが動いていないか。これは、お金をかけずに確認できることです。


市場連動プランは、印刷工場には向かないことがあります

私が扱っているプランの主力は市場連動型ですが、印刷業には慎重にお伝えしています。

見積単価が先に決まる構造だからです。受注した時点で売値が固定されているのに、原価だけが動く。しかも用紙代もインキ代も上がっている。そこに電気代の変動まで乗ると、読みが立たなくなります。

なので、変動そのものが負担になる工場には、私はおすすめしません。その場合は固定単価のプランをご提案します。9社を扱っているので、選択肢はあります。

向き不向きは「市場連動プランのメリットとリスク」で詳しく書きました。


よくいただくご質問

Q. 切り替えで、生産中に停電するリスクは増えませんか

増えません。送配電の設備は同じ北海道電力ネットワークが担うので、送配電に起因する停電のしやすさは変わりません。ただし小売の会社が事業を続けられなくなる可能性はゼロではなく、その場合は最終保障供給に切り替わります。電気は止まりませんが、料金は割高になります。

Q. 工事や、機械の停止は必要ですか

不要です。キュービクルにも生産設備にも手を入れません。書類の手続きだけです。

Q. 繁忙期と閑散期で使用量の差が大きいのですが

差が大きい工場ほど、基本料金の見直し余地が出やすいです。ただし使い方によっては市場連動が向かない場合もあります。検針票を見てから判断させてください。

Q. 診断して下がらなかったら

「今のままが一番いいですよ」とお伝えします。実際、そう申し上げることもあります。


なお、私が扱っているプランには、市場価格に連動するタイプもあります。市場が落ち着いているときはよく効きますが、高騰したときは単価が上がります。値動きを読めないことそのものが負担になる会社には向きません。固定型を選ぶこともできます。


このあとの流れ

① 検針票を1枚、メールかLINEでお送りください(撮影1枚でOK。2分ほどで終わります)
② 通常2〜3日ほどで試算をお返しします。この時点でこちらからお電話することはありません
③ 見て検討したい場合だけ、ご連絡ください。お断りのご連絡も不要です

いただいた検針票を電力会社にお渡しするのは、お客様の同意をいただいてからです。試算は無料で、試算後のご契約は任意です(試算だけで費用が発生することはありません)。

北海道内であれば、工場までご訪問して直接ご説明します。詳しくは北海道の印刷工場の電気代を見直すもご覧ください。

お問い合わせはこちら LINEで相談する


業種別のご案内
温泉・ホテルの電気代印刷工場の電気代介護施設の電気代


書いた人:株式会社fortuna(でんきの窓口)代表 池内裕亮/札幌/北海道の高圧法人を中心に、電力会社9社を比較した見直しを担当。→ 会社概要

株式会社fortuna(でんきの窓口)は、小売電気事業者9社の販売代理・媒介を行っています。ご提案の際は、契約先となる小売電気事業者名・料金プラン・契約期間・解約時の条件を書面でご説明します。

※記載の削減事例は一例です。工場の設備・稼働状況・契約内容により結果は異なります。削減をお約束するものではありません。